ゴキブログ一覧
2007 .7.26
ミナミヒラタゴキブリ幼虫・卵鞘
中齢幼虫です.
本種1齢幼虫は非常に小さく,飼育しているプラスチックケースに,飼育法でも紹介した炭酸カルシウムや,バターの登攀防止剤を塗っておいても簡単に突破し,フタとケースの間に挟んでいる防虫シートに張り付いています.
卵鞘です.小さいです.物に貼り付ける様に産み付けますが,ゴキブリ科の様に隠す行動はとらないようです.
2007 .7.25
ミナミヒラタゴキブリ
ミナミヒラタゴキブリ Onychostylus vilis (Brunner von wattenwyl)
小笠原父島の林内でよく見かけるゴキブリです.倒木の樹皮の下,ビロウの枯葉等に潜んでいます.本種は沖縄本島,久米島,宮古島,石垣島,西表島などにも生息している(朝比奈正二郎著 日本産ゴキブリ類参照).
父島産
非常に動きが速く,生きたまま捕獲しようとすると,取り逃がすことが多い.ビーディングに限る.ただ,小笠原は何となく捕虫網が使いにくいので,いつも手取りをしている.この種の生け捕りは冬場の動きの鈍い時期に行うのが一番である.
2007 .7.24
ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus.
殆ど見る機会がないのがこちら,ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus.
探してもなかなか見つからない.側溝に落ちていると思っていたが,ミミズしか出てきたことがない.
本種は小笠原では外来種とされている.分布は熱帯・亜熱帯で本土でも九州以南に分布.
見た感じはミミズ,手にのせると尾部の突起を手に食い込ませるような感じで,何となく不快な感じがする.しかし,ちゃんと鱗はあるしミミズでないことはわかる.
これがその突起.鱗も見て取れる.
拡大ついでに頭部も.眼らしき物がある.
本当に小さい.
2007 .7.23
オガサワラと名は付いているが,広域に分布している.
2月に父島に渡島したときは街中より山中で多く見たが,今回は夜,建物の壁に多く張り付いており,ホオグロ2に対しオガサワラ8ぐらいの割合で見かけた.
動きはホオグロの方が素早く,捕まえようとして逃げるのはホオグロ,捕まってしまうのがオガサワラ.そんな感じで少し鈍い感じでそこがまたかわいいと思うのです.
スリムで清楚な感じがする.(父島産)
物に貼り付けて産卵(父島産)
ホオグロヤモリ(父島産)
2007 .7.20
コワモンゴキブリ 脱皮
小笠原父島で捕獲した,“コワモンゴキブリ”の脱皮に調度立ち会ったのでご覧に入れます.
よく白いゴキブリを見たと聞きますが,脱皮直後の状態をその様に思われたのでしょう.
胸背部にわずかな亀裂が縦に入り,そこを中心に古い外骨格を脱ぎ捨てます.
完全に脱ぎ捨てるまでに要した時間は約30分.(写真左上から真ん中まで)
次に向きを変え翅が完全に伸びきるまで約60分(真ん中から左下まで)
右下の様に翅がきれいにたたまれ,色づくまで約6時間(右下写真まで)
全てに要した時間はなんと7時間30分.
脱皮の中で一番無防備なのが真ん中の頃まで,過密状態で飼育していると,この状態の時に他の個体に齧られていることがあります.軟らかくて美味しいのかも知れません.
2007 .7.19
小笠原 その他の爬虫類 オガサワラトカゲ
グリーンアノールの他に生息する爬虫類は以下の通り,
・オガサワラトカゲCryptoblepharus boutonii nigropunctatus
・オガサワラヤモリLepidodactylus lugubris
・ホオグロヤモリ Hemidactylus frenatus
・ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus
唯一在来種のオガサワラトカゲ.
父島では現在,その姿を見ることが少なくなってきている.生息しているポイントを知らないと偶然では見ることは難しいかもしれない.
動きも非常に素早く,アノールのように目立たない為,野生の状態で写真を撮るのは大変である.
本土のニホントカゲと違い小型でかわいい.
卵です.
2007 .7.18
キシタアシブトクチバThyas coronata (Fabricius, 1775)
蛾類は,貯穀害虫のノシメマダラメイガ等の小型種は,興味も有るし種もある程度わかるのですが,それ以外の屋外種はさっぱりわからないので,本種を見つけたときはちょっと感激しました.
家に帰り,調べてみて普通種のようで,ちょっとがっかりですが,ビロードのような前翅,すれていない外観は印象に残っています.
滞在したペンションの電灯に飛来したまま,寒さで動けず何日も同じ場所に止まっていました.
蛾流れで後一つ,どしゃ降りの母島で見慣れた蛾幼虫を発見,クワ科の植物に群れていました.アメリカシロヒトリ幼虫です.本当に何処にでもいる困った種です.でも雨だと本当に昆虫は何もいないので,ちょっと嬉しくなってしまいました.
中の平にて
2007 .7.17
アフリカマイマイAchatina fulica (Ferussac, 1821)
雨に祟られはしたが,そのおかげで日中はあまり見ることがないアフリカマイマイを,昼間から元気に活動している姿を見る事が出来た.過去4回の渡島でもあまり見ることは無かった為,最近はニューギニアヤリガタリクウズムシ等の陸生プラナリアに捕食されて,減ったのかと勝手に思いこんでいたのだが,実はまだ沢山いることがわかった(本種は植物防疫法により生息地(小笠原や沖縄)より持ち出しは厳禁である).
地表しか行動しないと思っていたのですが,ギンネム(マメ科の外来種)に登って樹皮をむしゃむしゃ食べていました.しかもかなりの数が.
黒くヘビのように樹幹に巻き付いているのは糞.(洲崎にて)
アフリカマイマイの貝はオカヤドカリの格好のすみかになるようで,アフリカマイマイの生息していない地域と比較すると,オカヤドカリも大型になりやすいと聞いたことがある.実際小笠原では巨大なオカヤドカリはほぼ例外なくアフリカマイマイの貝に入っている.
調度この時期は,繁殖の時期らしく,海岸に大型のヤドカリが足の踏み場もないほど集まって,盛んに他個体(♀?)にちょっかいを出していた.
貝の先端部がかけてヤドカリのお腹が丸見えの個体.
2007 .7.13
小笠原のグリーンアノール その2 雌雄の見分け方
ちなみにグリーンアノール(Anolis carolinensis)の♂♀の簡単な形態的違いによる見分け方をご紹介したい(爬虫類研究家T氏,土壌動物研究家N女史より教えて頂きました).
実際,飼育している人は国内にはあまりいない(特定外来生物に指定)と思うので,どうでも良いと言われればそれまでであるが,参考までに.
肛門より下がった部位の鱗の大きさが均一であるのが♀(写真上),不揃いで異様に大きい鱗があるのが♂(写真下).あくまで目安として簡単にわかる方法で,個体差等があるので100%ではないが結構信頼出来る.
小笠原で見かける個体は成体であれば大きい方が♂,小さい方が♀になる.
2007 .7.12
小笠原のグリーンアノール その1
6月上旬に仕事で小笠原に行ってきた.この航海は前線にすっぽりくるまれ,全日雨の思い出に残る出張となった.それでも幾種類かのゴキブリや面白い生き物を観察出来たので,少しご報告したいと思う.
昆虫好きにとって小笠原といえば固有の昆虫類が沢山いるイメージがあったのだが・・・・・・.
一番よく見かける生き物は体長20㎝にもみたない爬虫類.
グリーンアノールである.
食性は肉食.
当然昆虫類も食べる.
グリーンアノールが増える前は,開発の進んでいない小さな海洋島であるから,小笠原固有のシジミチョウ,タマムシ,カミキリムシ等が普通に見られたとの事.(神奈川県立生命の星・地球博物館発行,東洋のガラパゴス小笠原)
しかし,昨年初めて行って驚いたのは,虫がいない!
3泊して普通の状態で見た昆虫は,ナミアゲハ(外来種)1頭,チャイロネッタイスズバチ(外来種)1頭,セイヨウミツバチ,だるまに似たハエ沢山,そして「ゴキブリも沢山取れた」こんな状態である.
原因の一部はグリーンアノールによるらしい.
グリーンアノールは私が小学生だった頃,ペット飼育本にアメリカン・カメレオンとして飼い方が載っており,欲しいと思っていた爬虫類であった.
今その生き物とこうして接する様になるとは夢にも思わなかった.
グリーンアノール(Anolis carolinensis)
雨で気温も上がっていないが,じっと餌の来るのを待っている?♀のアノール.あまりの長雨に腹を空かしたのだろうか?(2007/06/10父島西町にて)
2007 .7.11
脱走防止処置
多くのゴキブリ類は6本の肢の跗節の先の爪の間に爪間板(Arolium)と呼ばれる部位が発達しており,これを使用して垂直なガラス面等を自在に移動する事が出来る.
この様な生き物を脱走させずに飼育するには,その壁面登攀能力を阻止しない事には,世話をする度に脱走される事になり,おそらく大問題になると考えられる.
そこで飼育容器壁面上部に幅5~10㎝に以下のものを塗りつけると滑って登れなくなり,蓋を開けても壁を伝って逃亡する個体はいなくなる.
トビイロゴキブリ(Periplaneta brunnea Burmeister)の爪間板
バター(マーガリン)
炭酸カルシウム(私が現在行っている方法で水に溶かし,筆で塗りつける)
ワセリン:流動パラフィン(1:1)(学会出版センター昆虫実験法より)
ワセリンのみ
炭酸カルシウムの良いところは,油系のものより洗うのが楽な事.
しかし,この方法でもミナミヒラタゴキブリ初齢幼虫は登る事が出来る.
2007 .7.10
ゴキブリのシェルター
シェルターはゴキブリが落ち着いて暮らせる様に,狭く暗くを考え作る.
以下がうちで使っているシェルターである.
現在,土中に潜らない種は殆どこれを使っている.
幅のある物は国産ではヤエヤママダラゴキブリ(Rhabdoblatta yayeyamana Asahina
)外国種ではブラベラス属などの厚みのある種に使用している.
材料は以下の通り.殺虫剤や忌避剤等が使用されていない物を選ぶ.
割り箸(100均)
ボール紙(出来れば昆虫資材を購入した時の物を使用)
のり(でんぷん糊)
2007 .7.9
ゴキブリの飲み水
ゴキブリは種類によってはかなりタフな生き物で,うっかり水をきらしても,それが原因で殺すようなことはあまり無い.しかし,屋外性のゴキブリ類は結構弱い者もいる.気を付けて飼育した方がよい.
では給水の方法である.調べると色々有るようだが,私がやっているのはプリンカップフタ中央に穴を開け,ガーゼを適当な大きさに切り,水を吸い上げる方法.
プリンカップは何度も洗って穴があくまで使用する.
水が飛び散らないため,飼育ケージ内を乾燥した状態で維持しやすい.
他の方法として
・ 野菜,果物を与える.
・ 三角フラスコに脱脂綿を浸して入れる.(学会出版センター昆虫実験法より)
・ ネズミ用やニワトリ用小型給水器を使う. (学会出版センター昆虫実験法より)
等がある様だ.
2007 .7.6
ゴキブリの食事
様々なゴキブリ飼育情報を見ると,ゴキブリの餌には皆さん様々なものを与えていらっしゃるようです.原則雑食なので人間が食べる物はおそらく何でも食べると思われます.リンゴ等のフルーツ,野菜,腐葉土,種によっては朽ち木等.
私が与えているのはネズミ飼育用の固形飼料と水のみ.飼育種の9割近くはこれだけで飼育が出来ています.たまに生け捕り用のスペシャル練り餌をお裾分けすると,瞬く間に完食するところを見ると,本当は色々なものが食べたいのかも知れません.
O酵母工業㈱製実験用動物飼料
写真の様なプリンカップに入れて与えると,ダニ(ケナガコナダニが多い)が湧いてもすぐに捨てる事が出来管理しやすい.
2007 .7.5
森の住人 キスジゴキブリ
今年の冬に鹿児島へ仕事で行った際,山に入り土中より掘り当てたのが本種の幼虫であった.同時にツチゴキブリ属の一種(未同定)他数種捕獲した.
採集時期が冬だったため動きも鈍く,夏であればおそらく捕獲出来なかったと思う.
キスジゴキブリ(Symploce Striata striata (Shiraki))
飼育はまだ成功していない.成虫は卵鞘は付けたものの,孵化せず.短命に終わった.現在同時期に捕獲した幼虫が頼みの綱である.
2007 .7.4
衛生害虫 美種 コワモンゴキブリ
見る人によると思うが,衛生害虫種の中で,色彩的にきれいと見えるのは本種ではないかと思う.この個体の親は,東京都で捕獲したが遙か1,000㎞を旅して今ここにいる.父島小笠原村産である.
目に飛び込む前胸背の模様はH大学S先生に言わせると「目玉」だと.確かに他のゴキブリでも前胸背に目玉模様らしき紋が入った種はかなり存在する.
ゴキブリ科のゴキブリは夜行性が多いが,不測の事態で昼に出歩かないとは限らず,夜はヒキガエル等の捕食者もいるから役に立っているのかも.
コワモンゴキブリ(Periplaneta australasiae (Fabricius))
飼育は簡単で,同じPeriplaneta属のクロゴキブリPeriplneta fuliginosa (Serville)
よりも成長が止まらないだけ増えるのも早い.
2007 .7.3
屋外種 モリチャバネゴキブリ
屋外種 モリチャバネゴキブリ
今日はモリチャバネゴキブリ(石川県産).
厨房に多く生息しているチャバネゴキブリに形態はよく似ているが,大きく違うところは『良く飛ぶ』,『厨房には原則生息していない』事である.都心部ではあまり見かけないが,郊外の雑木林には普通に生息している.
モリチャバネゴキブリ(Blattella nipponica Asahina)
チャバネゴキブリとの見分け方は成虫の前胸背板の黒条紋の形が違う事.
下写真左 チャバネゴキブリ(新宿) 右モリチャバネゴキブリ(石川)
飼育はチャバネゴキブリに比べ乾燥に弱く,長期間飼育しようとすると結構難しい.
2007 .7.2
初めまして。「グリーンバナナローチ」
初めまして。小松と申します。私の昆虫人生は蝶から始まり,外来甲虫類に進化し,ついにゴキブリに到達してしまいました.
ゴキブリ以外にも商売柄 吸血昆虫 貯穀害虫 多足類など,普通に生きていれば相手にしない生き物を愛するようになった私の仕事?のトピックスをご紹介しながら,皆様のゴキブリに対する見方を少しでも変えて貰えることを目的として公開していきたいと思います.
グリーンバナナローチ(Panchlora nivea)
体長♂15㎜内外♀20㎜内外.
黄緑をベースに前胸背側縁に白いラインが入る大変きれいなゴキブリである.
卵胎生で乾燥には弱く,良く飛翔するので飼育は難しいグループに入る。
死亡するとこの色は汚れた黄緑色となり、生存しているカラーを維持する事は難しい。